ポジティブに生きる。

HIV陽性者のゲイが治療や予防についてアレコレ語るブログ

HIVをもらった相手に検査を勧めようとした話

みなさんこんばんは。
いしざわです。

以前、「HIVをもらった相手(セフレ)からエッチのお誘いがあった」、要するに私にHIVをうつした相手はHIV感染に気付いていない、って話をこのブログで記事にしました。

hiv-positive.hatenablog.jp

自分に病気を移した相手に対しては色々思うところはありますが、向こうが気付いていないとはいえ既にポジってる同士ですし、断る理由(ネガの子とエッチしてHIVをうつす心配)も特段なかったので、彼からのお誘いに乗り、この三連休で会ってきました。

HIV陽性のカミングアウトはリスクのある行為

個人的には例の記事に書いた通り、「早期発見・早期治療が大切なので、検査には行くべき」といったスタンスです。
とはいえ、自分がHIVに感染していることを相手に伝えるのは相手の受け入れの精神的負担も高く、アウティングされるリスク等もあるため、HIV陽性者の中でもHIVのカミングアウトは慎重にすべき」といった見方が一般的なようです。

いしざわも例のセフレにHIV感染をカミングアウトするつもりは今のところありません。
セフレ相手にそこまでのリスクを取れるようなお人好しじゃないですし。

ただまぁ、彼を野放しにすることで新たなHIV感染者が増えるのも避けたいし、治療をしないことで本人が「いきなりエイズ」になるのも忍びないので、検査には行ってもらいたいとは思っています。

遠回しに検査の話題を出してみたが…

そんなわけで、彼との行為終了後にシャワー浴びてる際、HIVであることは言及せず、遠回しに検査の話題を出してみました。

 

【いしざわのネタ振り】

  • 最近梅毒が流行っているらしい
  • 知り合いが梅毒もらって、しばらくエッチできていないらしい
  • 最近性病の検査行った?

梅毒が流行ってる件は明確なソースはありませんが、Twitterで複数の感染例を見てるので、「流行ってるらしい」といった形で話のダシにする形にしました。

 

【彼の回答】

  • 最近検査には行っていない
  • 検査に行くつもりはあるが、保健所の予約が全然取れないので、そこまでして検査を受けるつもりはない

ニュアンスとしては、「行く気はなくもないが、予約も取れないし別にいいかな…」って感じでした。

とりあえず検査に行ってない旨の言質が取れたので、「彼がまだHIV感染に関して分かっていない」のは確証が取れましたが、「梅毒が流行ってる」程度の噂話で検査に行かせるのはどうも無理そうです。

ちなみに、彼は東京都在住ではなく、隣県の在住者です。
他県だとやっぱり、予約枠が取りにくい状況に変わりはないようですね。

奥の手として新宿東口検査・相談室を勧めることも考えましたが、そこまでしたら必死さが出てしまい、HIVがバレるリスクもあったので、喉元で止めました。

HIV感染は人から教えてもらえない

今回、私が例になっているのもちょっと皮肉な話ですが、HIV陽性者にとって「HIVのカミングアウトは慎重にすべき」というのが定説になっており、うつした/うつされた相手が素直に教えてくれるとは限りません。
相手に検査に行くよう伝える親切心よりも、伝えるリスクのほうが大きければ伝えないのは当たり前の話です。

そうなると、自発的に検査に行って、HIVの感染の有無を調べるしかありません。
結局のところ、以前の記事のタイトルのような「HIVは検査に行かないと気付かない」といった結論に落ち着くと思います。

そして、今回話題に出した例のセフレですが、話している内容からして、当分は検査には行ってくれなさそうな気はします。
エイズ発症してから判明するか、検査で事前に判明するかは分かりませんが、いずれにしても検査に行くか決めるのは本人の問題なので、いしざわは後者になるよう祈るばかりです。

HIV治療に向けた初期検査で結局いくらかかるのか

みなさんこんばんは。
いしざわです。

保健所での検査でHIV陽性が分かった後、その場で今後の治療や更生医療の制度について案内される流れにになるのは誰でも同じかと思います。
いしざわの場合、保健所の説明担当のスタッフに拠点病院での初期検査の費用を聞いたところお茶を濁されました。

この辺はずっとモヤモヤしていましたが、先日2回目の検査も終わって手帳申請・更生医療申請を進められる状況になったので、お茶を濁された理由と、費用感に関して書きたいと思います。

人によって検査内容が違うので、保健所は検査費について断言できない

見出しに結論を書いちゃいましたが、保健所が検査費に関してお茶を濁すのは、人によって初期検査で検査する項目が異なるため、検査でいくらかかるかは断言できないからです。

治療の第一歩として、保健所からの紹介状をもらって拠点病院を受診することになりますが、保健所から情報として提供されるのはHIV抗体検査の結果のみです。
ウイルス量等の状況を含め、主治医は目の前の患者がHIVに感染していること以外、一切分からない状態で検査・治療がスタートします。

初回は必ず診察→検査の流れとなりますが、診察の際にはHIVのおおよその感染時期、エイズ症状の有無、性病や他の病気の既往歴・自覚症状の有無、性器や肛門の状態(梅毒、尖圭コンジローマ等の症状の有無)などを主治医が確認します。
その確認結果を踏まえ、検査項目を主治医が決定し、検査に臨む形になります。

身体障害者手帳に絶対に必要な検査項目(CD4値・ウイルス量など)はHIV感染者であれば誰でも検査しますが、それ以外の項目の検査を同時にどの程度行うかは主治医の判断となりますので、検査を受けてみるまでは検査費がいくらになるかわからない、といったのが実情のようです。

 

いしざわは1回目の検査で血液検査・尿検査・胸部レントゲン、2回目の検査で血液検査・CTスキャンを受けましたが、Twitterでその旨の話題を出したところ「HIVの治療絡みでCTなんて撮ったことない」といった反応が複数人からありました。
やはり、主治医の考え方や既往歴・受診時の体調などにより、検査内容は変動すると見てよい良いでしょう。

実際の費用は検査2回で約4万円+診断書発行費

あくまでいしざわが実際に払った金額の例となるので、鵜呑みにはしないでください。

【1回目検査】

  • 血液検査・尿検査・胸部レントゲン:9,940円
  • 薬剤耐性試験:11,730円

【2回目検査】

純粋な検査費は2回合計で39,670円となり、1回の検査でかかったのはおおよそ2万円の計算となります。

これに加えて、身体障害者手帳の意見書が診断書扱いとなるため、診断書の発行費も必要です。
診断書の発行費も合わせると46,270円、四捨五入してだいたい5万円といったところでしょうか。

基本的に拠点病院は大病院が指定されているため、会計時にクレジットカードが使えるところのほうが多いです。
現金派の人は軍資金は多めに準備したほうが無難でしょう。

2回目の検査結果と手帳申請手続き

みなさんこんばんは。
いしざわです。

先日受けた2回目の検査結果をもとに、主治医に身体障害者手帳・更生医療の申請書類を作ってもらう段取りになっていましたが、その書類が届いたので、区役所に手続きに行ってきました。
今日はそれについて書きたいと思います。

2回目の検査でもCD4は500を切らず

以前、1回目の検査結果を聞いた際に、身体障害者手帳の申請条件について調べて記事にしました。

hiv-positive.hatenablog.jp

この際に「CD4が500切らないと申請を通せないんじゃないか?」といった懸念が出ていたため、2回目の検査値がどうなるかちょっと気になってはいました。

先生から直接検査結果を聞いたわけではありませんが、郵送されてきた申請書類に検査値が書かれていたので、数値状況は分かっています。

【1回目検査】

  • CD4:610
  • ウイルス量:46,000

【2回目検査】

  • CD4:535
  • ウイルス量:100,000

2回目検査で悪化してるけどCD4は500を切らず、といった、健康面でも手帳申請の面でも絶妙に嫌なところに着地。
ウイルス量も2倍以上に増えて10万の大台に乗ってしまったので、いろいろ嫌な感じです。

とはいえ、エイズ発症(日和見感染症の発症)の目安となるCD4=500を切らない状態は維持できているので、そのあたりは素直に喜んでもいいかもしれません。
先生が言っていた「早期判明だし、急速な悪化はたぶんない」といった言葉を今は信じたいと思います。

専門医は制度の抜け道も知っている

おさらいも兼ねて、前回検査の記事の際の身体障害者手帳の条件を再確認してみます。

www.haart-support.jp

上記記事から、手帳4級の申請条件を引用。

等級表4級に該当する障害はヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
I. CD4陽性Tリンパ球数が500/μL以下で、(1)の項目(a~l)のうち1項目以上が認められるもの。
II.CD4陽性Tリンパ球数に関係なく、(1)の項目(a~l)のうち(a~d)までの1つを含むを含む2項目以上が認められるもの。

上記記事から、(1)の条件部分を引用。

a.白血球数について3,000/μL未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
b.Hb量について男性12g/dl未満、女性11g/dl未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
c.血小板数について10万/μL未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
d.ヒト免疫不全ウィルスRNA量について5,000コピー/ml以上の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
e.一日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労が月に7日以上ある。
f.健常時に比し10%以上の体重減少がある。
g.月に7日以上の不定の発熱(38℃以上)が2ヶ月以上続く。
h.一日3回以上の泥状ないし水様下痢が月に7日以上ある。
i.一日2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上ある。
j.口腔内カンジダ症(頻回に繰り返すもの)、赤痢アメーバ症、帯状疱疹、単純ヘルペスウィルス感染症(頻回に繰り返すもの)、糞線虫症及び伝染性軟属腫等の日和見感染症の既往がある。
k.生鮮食品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である。
l.軽作業を越える作業の回避が必要である。

ウイルス量は前回検査時に基準を満たしているのは分かっており、手帳申請には2つ目の理由が必要でした。
そして、主治医が検査結果を踏まえて、申請理由として採用したのは「生鮮食品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である」といった条件でした。

www.kyumed.jp

上記のページを見るとわかると思いますが、生鮮食品の摂取禁止が発生するのはCD4が200以下の状態とされています。
CD4が200どころか500すら切っていないので、生ものを食べてもまず問題は出ないはずですが、この条件で通しちゃっていいんですかね…

ただ、条件の文面は「生鮮食品の摂取禁止日常生活活動上の制限が必要である」といった広範囲をカバーする書き方になっており、生鮮食品の摂取禁止以外であっても、日常生活を送るうえで何らかの制限事項(注意事項)があれば手帳申請の条件として認められるようになっているといった形で、医師所見で通せる抜け道が用意されているようです。

なお、主治医からは「問題ない数値とはいえ、健常者と比べると免疫力が落ちてるので体調管理には気を付ける」といった注意くらしいかされておらず、制限事項と呼べるものがあるかは怪しい状態です。
おそらくこの条件で通すしかないので、建前上はそうなっているのでしょう。

区役所での申請手続き

書類の事前準備

事前に準備する書類はこの3つです。

  1. 身体障害者手帳の意見書(診断書のフォーマット)
  2. 更生医療の医療費計算書
  3. 更生医療の申請書

このうち、1と2は主治医に書いてもらう必要があるので、予め区役所に取りに行っておき、2回目の検査時など、病院側から要求があったタイミングで病院側に渡す必要があります。
3については自分で記入します。

なお、病院によってはソーシャルワーカーが書類の準備をある程度代行してやってくれる場合もあるようですが、私が行っている病院ではその手の支援はありませんでした。

当日の手続き

上記の書類ができた後に、区役所に行って手続きをします。
当日持っていくものは下記の通りです。

  • 事前に準備した書類3通
  • 健康保険証
  • マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード
  • 身分証明書(マイナンバー通知カードを使用する場合)
  • 印鑑(自治体によっては必要ない場合あり)

また、申請当日に記入する書類もあります。

申請書を記入しているタイミングで、並行して区役所のスタッフが意見書の確認(意見書を書いたのがHIV治療の登録医かどうか、意見書の内容に不備がないか)を行い、書き終わる頃には確認が終わっているような状態でした。
書いた後にマイナンバーと身分証明書を確認して手続き完了となります。

私の住んでいる区では障害者手帳の窓口と更生医療の窓口が同一課の別窓口になっていましたが、更生医療に関しては当日記入は特段なく、保険証のコピーを取って終了でした。

事前準備は必要ですが、窓口での手続き自体は正味15~20分程度で終わります。

そして、肝心の身体障害者手帳発行のスケジュールですが、特段問題がなければ2週間程度で手帳発行とのことでした。
当初、申請書類を区役所に取りに行ったときは「申請から発行まで1.5~2か月程度」と言わましたが、蓋を開けてみると思った以上に早いようです。

なお、手帳については通知が届いた後に区役所に取りに行く必要がありますが、更生医療に関しては郵送で開始通知が来るだけなので、再度区役所に出向く必要はないそうです。

 

手帳発行が問題なく進めば、来月から投薬開始となりそうです。
問題なく申請が通ってくれればいいんですが、こればっかりは東京都がどういった判断をするかわからないので、祈るしかないですね。

HIVは検査に行かないと気付かない

みなさんこんばんは。
いしざわです。

今日はHIVをもらった相手からエッチのお誘いが来た」という状況に遭遇したので、それについて思ったことを書きます。

検査に行かないと、感染はわからない

前回の記事にも書きましたが、私がHIVをもらった相手は特定できています。
HIV急性症状で高熱が出た時期からおおよその感染時期が逆算できますが、その期間でリスクのあるセックスをしたのがセフレの1人しかいないため、九分九厘コイツだろう、といった絞り込みができている形です。

その後、お互い忙しかったり、コロナ感染拡大等々あって、私がHIVに感染した(うつされた)と思われる日から半年ほど会っていませんでしたが、今週連絡がありました。

コロナワクチン2回目打てたことだし、久々にエッチしない?(笑)

よくもそんなぬけぬけと、と一瞬思いましたが、ここは冷静に。
そう、彼は自分がHIVに感染しているのに気づいていないのです。

他のSTD(梅毒など)異なり、HIVは自覚症状が出にくく、静かに進行していく病気です。
実際問題、私にHIVをうつした相手もやはり感染に気付いておらず、無自覚にウイルスをばら撒く形になっているんだな、ってのを実感しています。

理由は何であれ、検査に行こう

不安があるタイミングでも、定期検査でも理由は何でもいいと思います。
とにかく検査に行きましょう。

HIV感染後、放っておくとパートナーやセフレといった身近な人のHIV感染に繋がったり、更に長期間放っておくと自身がエイズ発症したりと、いいことはありません。
単に自分がエイズ発症するだけなら自業自得で済みますが、知らぬ間にウイルスをばら撒いてしまうと周りの人を不幸にするので、できれば防いでおきたいものです。

早期発見・早期治療をすることで、健康状態を維持しつつHIVの治療ができるほか、更にはウイルス量を減らすことで相手にHIVが感染しない状態(U=U)にもなることができますが、まずは検査に行かないとHIVに感染しているかどうかは分かりません。

医療機関で検査を受ける場合は検査費用がかかりますが、保健所で検査を受ければ検査費はすべて公費、要するに無料です。

都内在住・都内勤務であれば新宿東口検査・相談室を使わない手はない

とはいえ、昨今のコロナウイルス流行で「近所の保健所の検査が中止になってる」といった状況もそれなりにあるとは思いますし、そもそも「近所の保健所が平日昼間にしか検査をやっていないので受けられない」といった人もいるかと思います。

実をいうと、東京には「土日も含め毎日午後~夜間の検査をやっている検査施設」があるんですよ。
しかも都営施設なので、検査費もタダです。

で、この施設、厳密にいうと保健所ではないので、コロナとは関係なく動いています。*1
要するに、コロナの影響で検査が中止されることはなく、いつでも検査を受けられます。

www.tmsks.jp

去年までは「東京都新宿南口検査・相談室」と名乗っていましたが、移転により「東京都新宿東口検査・相談室」となりました。
新宿東口と名乗っていますが、厳密に言うと「西武新宿」が最寄りで、JR線だと新宿よりも新大久保が近いのは突っ込まない方向で。

事前予約が必要ですが、「平日19時の夜間検査を毎日やっている」「土日の検査を毎週やっている」といった、他県の保健所と比べると異常なまでの充実っぷりです。
更に、予約はスマホから匿名で行うことができるため、従来の保健所の検査のようにいちいち電話予約する必要もありません。
まさに至れり尽くせりです。

この施設があることで、東京のHIV検査環境はかなり、というか国内トップクラスで恵まれています。
充実した環境が整備されてるのに使わないのはもったいないので、都内在住者はもちろんのこと、都内に勤務している人も、仕事帰りにちょっと時間作って新宿まで行く感覚で、検査を受けに行っても良いんじゃないかとは思います。

ちなみに、新宿東口検査・相談室は他県在住者でも利用可能です。
昨今のコロナ流行もあり、「遊びに行くついでに検査も受けに行く」というのが勧めにくいのはちょっと苦しいところですが、自県で検査が受けにくいのであれば、東京まで出て検査を受けるのも一つの手です。

*1:保健所とは独立した検査専業の機関となっているため、コロナの影響を受けにくいメリットがあるものの、保健所を名乗っていないため、病院担当者から公的な検査機関と認識されていない場合があるといったデメリットがある。
拠点病院で予約を受ける際に「紹介状が有効でない可能性がある」「選定医療費がかかる可能性がある」といった内容を言われることがあるものの、紹介状は検査室所属の医師が書くので、無効となることはないはず。

不特定多数とのセックスを避けるのはHIV感染予防として有効か

みなさんこんにちは。
いしざわです。

先日の自己紹介の記事で、ブログの開設目的の一つに「感染予防に関する保健所・検査機関の説明やパンフレット等の内容が教科書的すぎて、説得力が足りない気がする」ってのを書きました。

hiv-positive.hatenablog.jp

今回は感染対策の方法論のうち「不特定多数とのセックスを避ける」について、ゲイかつHIV感染者の視点から考えてみたいと思います。

不特定多数とのセックスを避けても、感染を完全に防げるわけではない

私がHIVに感染した経緯から考えた持論となりますが、「セックスの相手を特定少数に絞るのは、感染予防として効果がなくはないが、完全に防ぐのは難しい」となります。

ちなみに、私が今まで行ってきた予防策はこんな感じです。

  1. 発展場や乱交パーティーなど、感染リスクが高い場所には行かない
  2. セックスの相手は定期的に会うセフレ(数人)が中心で、定期的に検査に行くことを条件にナマでやっている
  3. 9monstersやTwitterのフォロワーさんからお誘いがあることも時々あるが、初めて会う相手には必ずコンドームを使用する
    定期的に会うようになってセフレ化した場合、2に準ずる対応をする

1については「不特定多数とのセックスを避ける」、3については「コンドームを使用する」の予防策を忠実に実行していた形になります。
この2つを徹底するだけでもそれなりに効果はあり、事実として、ゲイとしてセックスするようになってから10年はHIVに感染せずに過ごすことはできました。

問題は2の部分で、「不特定多数とのセックスを避ける」を「特定少数とセックスする分には大丈夫」と解釈し、特定のセフレとセックスする際にはコンドームを使用せずにセックスをしていました。
相手固定だし、定期検査してるし大丈夫でしょ、と楽観していたら、セフレの1人がHIVに感染し、HIVウイルス入りの精液を流し込まれてあえなく私も感染、といった流れになります。

要するに、セックスの相手が特定少数でも、その特定少数の人の誰かがHIVに感染した場合、自分もHIVに感染する可能性がある、ってことです。
それゆえに、「感染予防として効果がなくはないが、完全に防ぐのは難しい」といった、本節冒頭の結論が出てくるわけです。

定期検査って有効なの?

これも結論から言うと、定期検査に行くこと自体は悪いことではないが、感染予防の判断材料として使うのは危険なので、予防策として考えないほうが良いとは思います。

HIVも含め、性病全般は感染してから抗体ができるまでに時間がかかるため、ウインドウ期と呼ばれる「感染していても抗体検査に引っかからない期間」が存在し、この期間に検査を受けても「陰性」と判断されてしまいます。

www.hivkensa.com

HIVはウインドウ期が通常4週間程度とされていますが、抗体ができるペースには個人差があるため、「陰性であることを確定するには3ヵ月必要」となっています。
保健所が「感染から90日経ってから検査受けてください」と言ってくるのはこのためです。

要するに、HIVの検査を受けて分かるのは1~3ヵ月前の感染しているか否か」でしかなく、リアルタイム性が薄いため、セックスをする際に相手がクリーンかどうかの判断材料として使うのは危険ということは言えると思います。

例えば、「3ヵ月前に検査して大丈夫だった」は「4~6ヵ月前に陰性だった」ということになります。
セフレとして関係を持つような子が半年もセックスレス、って状況は考えにくいので、検査結果から相手が性病に感染してるか否かを判断するのはナンセンスだったんじゃないか、と今となっては思います。

ただし、万が一の感染があった場合の早期発見・早期治療を考えるうえでは定期検査を受けるのは非常に有効です。
私も定期検査でHIVが分かった身ですので、少しでも感染リスクがあるセックスをしているのであれば受けておいて損はないと思います。

パートナー以外とのセックスをしなければ感染しない、といったわけでもない

「不特定多数とのセックスを避ける」を極限まで突き詰めると、「パートナー以外とのセックスを完全にしないようにする」が理想論となります。
ただ、これは「自分がパートナーとしかセックスしない」だけではダメで、相手も含めて「2人ともパートナー以外とセックスしない」のが前提となるので、ゲイの恋愛観だとだいぶ厳しいんじゃないかと思います。

unlo.me

一昨年・2019年の調査となりますが、「ゲイの彼氏持ちの7割が他人ともセックスしている」といった結果が出ており、パートナーだからといって他の子とセックスをしない保証はないと言っても過言ではないかと思います。

前述のセフレがHIVに感染していた件も、例のセフレには同棲中の彼氏がいるとの話を聞いており、パートナーがHIVもらってくるパターンも現実に起きていたりします。
具体例が身近に出てくるのが怖いところですね。

コンドームかPrEPで感染対策をしましょう

結局のところ、「不特定多数とのセックスを避ける」は、特定少数の相手(固定のセフレやパートナー)からHIVを持ち込まれたパターンで瓦解するので、冒頭で出した「効果がなくはないが、完全に防ぐことはできない」といった結論になります。

それを踏まえて、どう対策するかを考えると、

  • コンドームをつける
  • コンドームがどうしても嫌ならPrEPする

…といった2択になるかとは思います。

「不特定多数とのセックスを避ける」ってのも確かに大切ですが、それだけではどうしてもカバーできない状況が出てくるので「コンドームをつけろ」って繰り返し教科書的に言われてるのは意味があると、実体験というか、自分のやらかしから学んだ気はします。

検査結果と身体障害者手帳の申請基準について

みなさんこんにちは。
いしざわです。

記事で何を書こうかな、と考えてるうちに2回目の検査日が来ちゃったので、本日、検査・診察に行ってきました。
その際に1回目の検査の結果を聞いたので、それを踏まえて考えたことを書きます。

CD4値・ウイルス量は検査当日に分かるわけではない

2回目の検査に行ったのになぜ1回目の検査の話をするかというと、血液検査におけるCD4値・ウイルス量の数値はすぐに出ないからです。

それに加えて、身体障害者手帳の交付申請の際に「4週間以上の間を空けて検査をした、2回以上の検査結果」が必要となるため、1回目の検査結果が出た後に急いで結果を受け取ってもどうしようもない、ということで、1回目の検査結果は2回目(今回)の検査の際に聞くことになりました。

主治医からは、

  • 今回受けた2回目の検査の結果も加味して、1週間くらいで障害者手帳・更生医療の申請書類を作成し自宅に郵送する
  • 身体障害者手帳の交付までは時間がかかるので、2回目の検査後は、結果が分かり次第早めに動く必要がある(前回同様、1ヵ月待ってから結果を聞くのでは遅い)
  • 身体障害者手帳が発行され、更生医療申請が通り次第、次回診察後から投薬治療を開始したい

…と言われており、実際には数日~1週間程度で検査結果は出るようです。

そこまで免疫数値は悪化してなかった

肝心の検査値ですが、こんな感じでした。

  • CD4:610
  • ウイルス量:約46,000

主治医曰く、

  • 健常者と比べるとCD4値が多少下がっているものの、直ちに問題が起きる数値ではない(日和見感染症、いわゆるエイズの症状が起きるのはCD4=500くらいから)
  • 早期判明ゆえにあまり悪化していない

…といったコメントでした。
前回撮ったレントゲン、今回撮ったCTでも特段異常はなく、体内でHIVウイルス飼ってる以外は健康体との診断を受けています。

CD4値が500を切っていない状態で手帳申請はできるのか

ただ、CD4値がそこまで下がっていないのを手放しに喜べるかというと、治療のことを考えるとそうでもないかもしれません。

HIVの投薬治療を受けるうえで、身体障害者手帳の交付と更生医療制度の活用はほぼ必須となっていますが、CD4値が下がっていない場合、身体障害者手帳の交付を受けられない場合がある旨はTwitterで繋がっているHIV陽性者のフォロワーさんから事前に聞いています。

www.haart-support.jp

上記資料より、手帳4級の基準の部分を引用。

等級表4級に該当する障害はヒト免疫不全ウィルスに感染していて、次のいずれかに該当するものをいう。
I. CD4陽性Tリンパ球数が500/μL以下で、(1)の項目(a~l)のうち1項目以上が認められるもの。
II.CD4陽性Tリンパ球数に関係なく、(1)の項目(a~l)のうち(a~d)までの1つを含むを含む2項目以上が認められるもの。

(1)の項目の部分の引用。

a.白血球数について3,000/μL未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
b.Hb量について男性12g/dl未満、女性11g/dl未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
c.血小板数について10万/μL未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
d.ヒト免疫不全ウィルスRNA量について5,000コピー/ml以上の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く。
e.一日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感及び易疲労が月に7日以上ある。
f.健常時に比し10%以上の体重減少がある。
g.月に7日以上の不定の発熱(38℃以上)が2ヶ月以上続く。
h.一日3回以上の泥状ないし水様下痢が月に7日以上ある。
i.一日2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上ある。
j.口腔内カンジダ症(頻回に繰り返すもの)、赤痢アメーバ症、帯状疱疹、単純ヘルペスウィルス感染症(頻回に繰り返すもの)、糞線虫症及び伝染性軟属腫等の日和見感染症の既往がある。
k.生鮮食品の摂取禁止等の日常生活活動上の制限が必要である。
l.軽作業を越える作業の回避が必要である。

Twitterのフォロワーさん数人の治療状況報告を見ている限りでは、基本的に投薬開始前の状態だと、要件のd(ウイルス量5,000以上)はほぼ無条件で満たすので、実質的に他の1要件で身体障害者手帳の4級の申請基準を満たせることにはなります。
実際、早期発見組の私でもウイルス量5,000のラインは軽く超えちゃってますし。

そして、ウイルス量の条件を満たしている前提で他の条件を考えると、

  • CD4値が500を切っている(基準Iに該当)
  • 血液検査でウイルス量以外の異常値が出ている or エイズ症状が何かしら出ている(基準IIに該当)

…といった条件になります。
今回のCD4の検査値は610なので、基準Iで通すのは無理そうです。

そうなると基準IIで通すことになりますが、血液検査もウイルスが検出される以外はいたって正常で、これといった自覚症状もないので、基準IIで通すのもやっぱり無理そうです。

もしかして、これ、詰みでは??

先生に聞いても回答はやっぱり一緒

上記内容は予め頭に入れたうえで今回の検査・診察に臨んだので、主治医から今後の手続きに関して説明があった際に疑問をぶつけてみました。

  • 今回(2回目)の検査の結果次第だが、CD4値で申請を通すのは厳しいかもしれない
  • 手帳は取れても4級

うーん、全くもって、予想通りの回答でした。

先生の話を聞いてる限りでは次回診療・検査時(1.5か月後)から投薬治療を始める気満々でしたが、果たして本当に申請がうまくいくのかは若干不安なところはあります。

ただ、例の基準は形骸化している部分もなくはなく、医師所見でごり押しすれば申請が通る場合があるとの噂も小耳に挟んでいるので、とりあえずは2回目の検査結果を待って、手続きは進めていきます。
申請が却下された場合はまぁ、その時はその時で。

ご挨拶と自己紹介

みなさんこんにちは。
いしざわ(仮名)です。

ブログのサブタイトルにも書きましたが、このブログはHIV陽性者のゲイが、当事者の立場からHIVの治療やHIV感染予防に関して考えたことや感じたことについてアレコレ書いていくブログとして運用していこうと思っています。

ゲイの性事情等々、赤裸々な内容も随所に出てくると思いますので、苦手な方はブラウザバック推奨です。
大丈夫な方はよろしくお願いします。

自己紹介

まずは簡単ですが自己紹介です。

  • 年齢:アラサー
  • 性別:男
  • セクシャリティ:ゲイ
  • ポジション:ウケよりリバ
  • パートナー:なし(交際経験はあり)
  • 住んでるところ:東京都
  • 職業:会社員/システムエンジニア
  • 趣味:筋トレ、セックス、ゲーム、音楽鑑賞、鉄道関連
  • HIV感染時期:おそらく2021年3月下旬
  • HIV感染判明時期:2021年7月
  • HIV治療状況:CD4/ウイルス量検査中、未投薬

趣味に「セックス」と書いてる時点で「あっ(察し)」な部分はあるかと思いますが、まぁそういうお年頃ということでお願いします。
HIV感染判明後はネガの子との性交渉はなるべく避け、どうしてもの場合はコンドームを使用するなどの対策をしたうえで、感染拡大を防ぎつつ楽しむ形をとっています。

HIV感染者としては、感染から約3か月ちょっとでの早期発見組です。
判明からまだ1ヵ月程度しか経っておらず、CD4/ウイルス量の値が出ていなくて不安ではありますが、それ以外の検査値はいたって正常かつ、ほかの性病等もなかったため、主治医の先生からは「当面は問題ないと思う」とのコメントをもらっています。

感染判明した最初の週は食欲不振に悩まされましたが、自覚症状も一切なく、体調も安定してますのでご安心ください。

ブログを開設したきっかけについて

目的というか、現状に対する不満をざっとまとめるとこんな感じです。

  1. 感染予防に関する保健所・検査機関の説明やパンフレット等の内容が教科書的すぎて、説得力が足りない気がする
    もうちょっとゲイ向けの実情を考慮した掘り下げをしたい
  2. Prepが浸透せず、「ゴム使え」「不特定多数とヤるな」がいまだに主流の対策となっていることについて掘り下げたい
  3. 感染予防のパンフレットでHIVの初期症状(HIV急性症状など)があまりクローズアップされておらず、エイズ発症まで検査に行かない「いきなりエイズ組」が一定数いるのはマズいんじゃないか
  4. HIV陽性者向けの病気や治療に関するパンフレットもまた教科書的な内容で、実際にどうするか(ハウツー)の部分の抜け落ちが多い
    例)会社にバレずにうまくやる方法、所得税・住民税の還付申告 …等
  5. HIV陽性者支援のNPO等がネットに出している情報もちょっと古いものが多いうえ、教科書的な内容を選別して載せてるので、目的の情報が得にくい
  6. HIV陽性者とつながるべくTwitterを始めたが、Twitterではリアルタイムの情報が手に入るものの、断片的な情報が多いため、どこかでインプットした情報をまとめる必要がある

当面は「感染予防と実情」HIV感染者としてどう生きていくか」の2つの柱でやっていこうと思います。
この辺の話題が出尽くしたら日常ネタのブログとかになるかもしれませんが、しばらくの間はHIVに関する話が中心になるかとは思います。